「4月某日」
風強し
隣家の桜路地を染める
夕刻
シゲッティー聴き原稿1枚書く
夜半
カルザス流し机に向かう
一字一句浮かばず
チェロの音夜を引き裂く
晴
「某日」
前日より気温10度低し
昨夜来の雨
桜無残なり
午後
ストリクトリー・パウエル聴く
夜半
原稿5枚書く
妻の風邪回復に向かう
たぎる湯の音
しばし耳をすます
雨
「某日」
ベートーヴェン7番聴く
フルトヴェングラー指揮
ベルリンフィル1943年
迫り来るソビエト軍
この2楽章
その靴音と聴いた
夜半
原稿書き終えリパティ聴く
シューベルト
即興曲変ホ長調
まぎれもなくパウエルの血が
色濃くにじむ
疲労甚だしく
夜の深さが肩に重し
晴
Photo by T.matsuoka